帯の種類・格【見分け方ガイド】シーン別の選び方や合わせる着物を解説します

前回、着物の種類と格についてシーン別で解説しましたが、今回は「帯」について解説していきます。

帯にも着物と同様に、“格” があり、TPOに合わせて使い分ける必要があります。

一見分かりづらい着物の帯ですが、一度基礎を覚えてしまえば着物ほど複雑ではなく、意外と簡単にご自身で使い分けることができるはずですよ。

今回は、合わせる着物についても見ていきますので、ぜひ帯選びにお悩みの方は参考にしてみてくださいね♪

帯の名称は「長さ」と「幅」で分けられています

帯の種類と格

はじめに全貌を掴むために帯の種類について解説します。

まず大前提として、帯の種類は、帯の「長さ」「幅」によって分けられています。

帯の中でも最も着用頻度の高い、袋帯・名古屋帯・半巾帯の3種類を見ていきましょう。

1. 袋帯

袋帯の画像

袋帯とは女性のフォーマル用の帯で、第一礼装として着用されることが多い帯です。表地にのみ柄があり裏地は無地になるように袋状に織って作成されたことが袋帯という名前の由来となっています。

帯を締める時には、おめでたいことが重なりますようにと二重太鼓や、成人式の際に振袖に見かけるふくら雀や文庫結びなどの変わり結びを用いて着用されています。

袋帯はフォーマルな場面で着用される帯ですので、留袖・訪問着・振袖などの着物に合わせるのが一般的です。

仕立て方により寸法は多少変わりますが、幅が約31.2cm(八寸幅)、長さが約430~450cm で仕立てられるのが基本です。

2. 名古屋帯

名古屋帯の画像

古くから礼装の着物に合わせていた高価で着付けが大変な丸帯を改良して生まれたのが名古屋帯です。まず、明治時代に袋帯という帯が作られました。そしてさらに、二重太鼓にしなければならず着付けが大変だった袋帯を改良して、一重太鼓で簡単に着付けができるようにと作られたのが名古屋帯です。

名古屋帯は袋帯よりもカジュアルな場で使用されることが多く、セミフォーマル~カジュアルな着物に合わせることが多い帯です。小紋や紬などの着物に合わせることができますので、ちょっとしたお出かけや友人とのお食事など、普段着として着物を着用したい人には名古屋帯が適しています。

幅が約30.4cm(八寸幅)、長さが約3m60cm程度で仕立てられます。「幅は広めだけど長さは短い帯」という風に覚えておくと良いかもしれません。

3. 半幅帯

半幅帯の画像

元々は羽織を着用する時など「背中の帯が見えない」ときに着用される帯でした。

現在は用途も多様化して、小紋や紬といったカジュアルな普段着の着物に合わせられます。華やかな飾り結びも可能で、季節を選ばず使えるので、お手軽に使える便利な帯です。

幅は約16cm(四寸幅)、長さ約3m80cm程度で仕立てられます。

補足:その他の帯について

上記、袋帯・名古屋帯・丸帯といった現代でも着用頻度の高い帯についてご紹介しましたが、実は帯にはまだまだ種類があります。

  • 全通帯(ぜんつうおび)
  • 六通帯(ろくつうおび)
  • しゃれ袋帯
  • 京袋帯
  • 袋名古屋帯
  • 単帯(ひとえおび)

先に紹介した3種類の帯と合わせると、その数は10種類近くにも上り、それぞれに格があり、着用されるシーンが異なってきます。基本的に、袋帯・名古屋帯・丸帯の3種類の使い分けができれば、みなさんが体験する行事やイベントは事足りるでしょう。

ですが「こんなシーンはどの帯を着用すればいいの!」といった疑問をお持ちの方へ、上記の帯の格と着用されるシーン・合わせる着物について一覧形式でまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

帯の “格” について。全種類別の着用シーン・合わせる着物一覧

分かりやすいように格の高い帯から順に並べています。(上にいくほど格が高くなります。)

※同じ帯の種類でも、金糸、銀糸があしらわれているもの、伝統的な柄を全面に配しているものなどは格が上がる場合があります。染か織、柄行などによっても格が変わりますので、下記はあくまで目安としてご覧ください。

帯の種類・格 合わせる着物 着用シーン例
丸帯 白無垢・黒引き振袖・打掛・色打掛 婚礼衣裳や舞妓の衣裳など
袋帯 色無地・附下げ・訪問着 茶会やパーティなど
全通帯 振袖 成人式など
六通帯 訪問着 パーティーや同窓会、食事会など
京袋帯 小紋・紬 お茶会や習い事など
名古屋帯 小紋・紬 買い物や友人との食事、お稽古など
袋名古屋帯 小紋・紬 買い物や観劇、旅行など
単帯 単着物、浴衣や夏着物 散策、夏祭りや花火大会など
半幅帯 紬・小紋・浴衣 買い物や友人との食事など

 

帯の種類・格まとめ

今回は帯の種類・格について、合わせる着物や着用シーン別でご紹介しました。

帯の種類にはいろいろなものがあり、素材や柄なども様々です。フォーマルな場面や少しかしこまった行事、普段着などカジュアルに着こなしたい時など、シーンに合わせて帯の種類を変えることができます。

着物初心者の方は、「着物の種類で精一杯で、帯までは…」とお悩みの方も多いと思います。ぜひ今回の内容を参考にして、洋服を楽しむように、着物と帯の組み合わせも楽しめるようになってくださいね♪